どうして、ここに連れて来たの?
あの時は、何も考えずにはしゃいでいたのに…。
今は、この波の音で、心を落ち着かせようと必死だった。
「こっち」
海を見ていた蓮が、静かに向きを転換して歩き出す。
それに静かに着いていくことしか出来なかった。
少し歩いたところに、丘のようになっている場所があった。
「こっちだよ」
無邪気な子供のように笑う蓮。
その笑顔を、この胸に焼き付けておこう。
最後の最後で、蓮は少し走って、あたしより先に登りきってしまった。
「良かった。大丈夫だ」
そう言って、蓮はクルッとあたしの方を向いた。
「葵!見て!!」


