井上先生が挨拶をして、この日は終わった。
授業は二時間と言う事で、空は明るく天気も良い。
教室の窓からは、校内に咲く満開の桜が見え、一面薄いピンク色をしていた。地面は、舞い散った桜の花びらにより砂の茶色は覆われている。
そこに一本。太い幹をした桜の木があった。
「わぁ、大きな桜の木!」
桜は窓の外へ手を伸ばす。
この手が届く事はないけれど、両手を出し包み込む様に差し出す。
「綺麗……」
すると、強い風が吹いた。
大きな桜の木は風によって大きく揺れ、桜の花びらを散らす。
その花びらは教室の方にも飛んできた。
その様をゆっくりと眺めていると、桜の手にも花びらがゆっくりと落ちてきた。