今宵は紅い満月。


紅色はこの世で最も好きな色だ。
愛しい彼の深紅の瞳を思い浮かべるから。

「綺麗ね……」



一人、誰もいない此処で呟く。


「貴方は今、何処に居るの?
貴方がいないと寂しいよ……悲しいよ……」



私が、寂しいって言うといつも近くに寄り添ってくれたよね?

その温かさが、体温が今では恋しい。



私が、悲しいって言うといつも抱きしめてくれたよね?

その温もりをもっと感じていたかった。





ねぇ。
今宵も紅い満月の空の下、子守唄を詩ってよよ。