びっくりした。

いきなりの強風で驚いた。

その様子は、桜の花びらが風によって宙を舞い踊っているかのようで……。


(誰か、いる…?)

視界が悪くてわかりづらいがそこには確かに誰かいる。
体格的にも男?の人だ。

恐る恐る声を掛ける。


「誰かいるの?」


反応がなく、少し待つ。

ゆっくりと風が止むにつれ、その姿がはっきりとしてくる。



男の人だ。

瞳は血のように紅く、髪は透き通る様に白い。

着物を着ていて、おそらくはここの者ではないだろう。


誰だろうか?
こんなにも綺麗な男の人は見たことがない。


でも……

今にも消えて無くなってしまいそうだ。



何でこう思うのかは分からない。

だけど、哀しい。


かなしいんだ。





「消えないでっ……!」

薄っすらと涙を浮かべ、桜は見知らぬその人に声を掛ける。

突然――…、視界が暗くなった。

次第に意識は遠のいていき、桜はその場に倒れた。