梨乃…



「私はいいと思うよ?」


真紀奈はそう答えた。

梨乃は真っ直ぐ前を見ていた。


その日、私は梨乃に何も言えなかった…



数日後、私はふたりを
中庭に呼び出した。



「和歌菜、どうしたの?」


「なんか珍しいね!
悩み事だったらなんでも聞くよ♪」


私が、こんなかんじでふたりと
話すのは初めてといっていいほどだ。
私は思いきってふたりに話してみた。


「 私、優也のこと好きなの…」



すると、二人は顔を見合わせて、
真紀奈はぷはっ!と笑いはじめて、
梨乃はすごく驚いたような顔をした。


「 そんなの分かってたよ、」

笑いながら真紀奈が言うと、

「なんでいってくれなかったの!?」

と梨乃が言ってきた。


私は状況をのみこむのに少し
時間がかかった。


すると、笑い終わった真紀奈が、

「いつ言ってくれるかな?
ってずっとおもってたの。
いじわるしちゃってごめんね?
あ、和歌菜もすごく分かりやすいんだよ? 」

と、ニヤリとして言った 。



「ほんとに!?」


私は結構隠せていると思っていたので
すごくビックリした。


「私応援するよ!ライバルだけどね♪」



梨乃がいつものように
明るくそう言った。



「私も応援する。がんばりな!
二人とも。」


「梨乃…真紀奈…」


ほんとうに優しすぎる…
このふたりが友だちでよかった…



その後、真紀奈とふたりで話した。

「でもさ、こういうのも悪いけど
大河の好きな人って…」

「分かってるよ?…
でもさ、梨乃が付き合ってから
私も好きでしたってなるよりは…」

うそ…ほんとは梨乃にコクって
ほしくなんかない…
心のどこかでちょっと
やめてくれるかもっていう期待も、
ないこともない…


「まぁ、それはそうだね、」


真紀奈はそういうと、
私にぎゅっと抱きついてから

「辛いよね、、」

と、悲しげな顔をした。


「真紀奈…」

私はなにも言えなかった。