「わーかな!おはよ!」

優也がうれしそうに
私の方へ走ってきた

「おはよー、朝からうるさいなぁ
何かいいことあったの?」

「お!わかる?
昨日梨乃と一緒に帰ったんだ!♪
で、今日どうしても和歌菜に
言いたくて !」

「はいはい、よかったね」

「冷たいなぁ、
和歌菜ちゃんご機嫌ななめ??」

「べつに?」


彼が言う梨乃とは
坂井梨乃(さかい りの)
私の親友であり、彼の好きな人

明るくて、かわいくてちょっと天然

こちらもおめめぱっちりでゆるふわ
の髪。身長は私とそんなにかわらない。

そして、もう一人の親友が
尾形 真紀奈(おがた まきな)
どっちかというと美人で
しっかりしててクールな子

さらっとした髪の毛をポニーテール
で束ねている。そして…

二人ともすごくオシャレなんです。


ほんとは梨乃と一緒に帰ったなんて
聞きたくなかったなぁ…
親友なのにヤキモチやいちゃうよ…

モヤモヤとした
不機嫌な気持ちをおさえて
もうすぐ教室に入ってくるであろう
梨乃と真紀奈のことを待っていた。



「わかなーー!!
おはよー!会いたかったよー!♪」

いつもどうり梨乃が
元気に教室に入ってきた。

実はちょっと妬いてたけど
梨乃は関係ない、と思い直し
笑顔で梨乃にこたえた。

「おはよ、
昨日も会ったでしょ?」

「ずっと一緒にいたいんだもーん♪」


なんだこの可愛い生き物!!

とか思いながら梨乃の頭を
ポンポンとなでていた。

そんなに間を置かずに
真紀奈も教室に入ってきた。

「おはよー。あ、そういえば
梨乃さ昨日大河と一緒だった??」

胸がズキッと痛んだ。

「うん!偶然会ったんだー♪」

そこに自分の話をしている
ことを嗅ぎつけた優也が
私たちのところへ近付いてきた


「なになに~??
なんの話??」

優也がニコニコしながら
話しかけてきた。

「あんたが私らの可愛い梨乃に
てを出してくるって話だよ。」

真紀奈がからかい半分でこたえる


「は!?」


顔を真っ赤にしながら
驚いたような反応をした優也。

その反応に可愛いと思う自分と
どこか傷ついた自分もいた。

「ほんとあんたってわかりやすいね」

真紀奈が少しあきれたように
ふっと笑った。

「ばっ!うるせーよ!」

真っ赤な顔のまま少し照れたように
手で顔を隠しながら言った。
可愛いすぎてキュンとしたのもあるが
また、胸がズキッと痛んだ。

いつの間にかその場を離れていた
梨乃はなんの話をしているのか
分かっていないようで、

「ん?なんのはなし??」

と何回か私に聞いてきた。

「大人の話…かな?」

微笑みながら私はそう答え、
梨乃の頭をまたポンポンと
なでて、一緒にその場を離れた。