私はとりあえず
考える時間をもらうことにした。

こんなの梨乃にも真紀奈にも言えない…


ただ、どうしたらいいのかも
私には分かるはずもない…
答えは出てるのに…



「どうしたらいいんだろ?…」


わかってるのに…

私がひけばみんな幸せになる


でも…嫌だよ…

それ以外にみんなが
幸せになる道はないのに…






______次の日、



私は昨日の夜、ある決断をした。


そして、それを伝るために
優也を呼び出した。


「お待たせ、和歌菜」

中庭で待っていると
そこへ昨日より晴れやかな顔をした
優也がやってきた。


「うん、わざわざありがと…」

出来る限りの笑顔を見せた。


優也がきてすぐに私は
話をきりだした。


「昨日ね、うれしかったよ……
でも、付き合えない…」


「なんで?」


優しくそっと聞いてくれた。


「優也の好きな人は私じゃない…」


優也はなにか言おうとしてたけど、
それを止めるように話を続けた。

「優也は梨乃が好き、
優也にはだまってたけど…
いや、言えなかったの…ごめん…」


「なにを?」


悲しげな顔で優也が聞く。

「梨乃ね、優也のこと好きなの…」

「………」


優也は少し驚いていたけど
とくに何も言おうとはしなかった。



「優也…ほかにやることが
あるんじゃない?」



私は泣きそうなのをおさえて
ニコッと笑った。


「ほんと俺ダメだね…
和歌菜につらい思いばっかさせて…
でも…ごめん!俺、行ってくるよ!
和歌菜!ありがとう!」

そういうと優也は
私たちの教室に向かって走っていった



「こっちも向いて欲しかったな…」


今まで耐えてきたものが
どっと溢れだした。


泣くな!これが一番よかったんだよ!

そう思えば思うほど
涙が止まらなくなった。


そのときだれかが近づいてくる音がした。

私は顔を隠しながら
そこから走って逃げた。

さすがに失礼なことをしているな と思い、
後で謝るためそっと振り返ってみた。


そこには、同じクラスの
高瀬 海人(たかせ かいと)がいた。

高瀬は優也と仲良くしていて、
誰とでもフレンドリーに話せるため、
私も結構話している。


「目、腫れちゃってるかな?」

鏡をみると案の定目が腫れていて、
そのあと一時間
保健室で休ませてもらうことにした。