〜取り調べ〜

今まで散歩をしている時に声をかけられる事なんてなかったからびっくりしたあたしは恐る恐る声の主の方に振り向いた。
するとそこには20代前半と思われる男の人がバイクに乗っていた。
一瞬不審者かと思ったけどさっきの声音からこの人が変な人だとは思わなかった。
「はい。」
とりあえずあたしはその人に対して返事をした。するとその人は
「君こんな時間にこんな所で何をしているの?」
とバイクから降りてヘルメットを外しながらまるで警察官のような質問を投げかけてきた。
「散歩…です。ここはあたしが通っていた中学校で…久しぶりに見に来た…だけ…です…。」
変な事を言わないように間をあけながら伝えていく。
「なるほどね。別に変な事しようと思ってはいないよね?」
それはもちろん。とあたしは言いながらうなずいた。
しかしこの人は誰なんだろう。
質問してみようと口を開く前に
「俺はその坂の下にある交番に勤務している警察官なんだよね。」
と中学校からすぐ近くにある急な坂道を指しながら教えてくれた。
「とりあえず君の名前教えてくれるかな。

とさっきまでより少し優しめの声であたしに問いかける。
「か、上田美保です。」
あたしは目の前にいる私服を着てバイクに乗って私は警察官という人を少し疑っている。普通警察官の制服を着てパトカーに乗っているはずだよね。
「みほちゃんね。あ、言っとくけど俺は本物の警察官だからね。さっき仕事終わって家に帰ろうとしてた所に君がいたから声をかけたんだよ。」
まるであたしが考えてる事がわかってるかのようににこっと微笑みながらその人はあたしの疑惑を否定する。