「寒くない?」
「うん。大丈夫だよ。」
本当はもう冬も近づいてるし、日が落ちてからは寒い。
着物だからそんなに着込めてないし。
でも、そんな寒ささえ心地よくも感じる。
それに、少し寒い方が、愁くんの温かさがより伝わってくる気がした。
川に映るお店や街灯の光。
ひそひそ話し声も聞こえるけど、耳をすませば、川を穏やかに流れる水の音が聞こえる。
「なんか落ち着くね。」
「そうだな。」
愁くんはつないでいた手を離し、腰に腕をまわして、いまよりもっとくっついてきた。
そして、ゆっくり顔が近づいてくる。
「ちょっ、愁くんだめだよ。人がいっぱいいるのに。」
「誰も俺たちのことなんか見てないよ。」
愁くんにそう言われて周りを見れば、どのカップルも2人だけの世界って感じで、誰も周りを気にしていないようだった。
「これが鴨川のいいとこだろ?」
「そうだけど、でも、、」
「もう黙って。」
そう言った愁くんに、口を塞がれる。
あたしの思考回路なんて、すぐにショートしちゃうんだから。

