ジキルとハイドな彼

シンプルな黒のスカートにベージュのザックリ編んだニットを合わせる。

アクセサリーはゴールドで統一感し、ピアスは存在感のあるものを、ネックレスは胸元でキラりと光るシンプルなデザインを選んだ。

せっかくなのでコウにもらったブレスレットも付けていこう。

ビッグシルエットのコートを羽織ると携帯が鳴る。コウが私の家の前に到着したようだ。

慌ててケイトスペイドのバックを掴み、ショートブーツを突っかけて外に出る。

「お待たせ」

出迎えてくれたコウは、フワフワのファーがついたカーキのモッズコートを羽織り、ネイビーのカーディガンとグレーのウールパンツを合わせている。

私服姿も溜息が出るほど素敵。なんとなくパンツにしなくてよかった。

「見違えたね」私の姿を見てコウは片眉を上げて悪戯っぽく笑う。

「借りといて何だけど、あのグレーの服、酷過ぎなかった?まさか囚人服じゃないわよね」

私はずっと心の内に秘めていた疑問をぶつける。

「結構いい時間だから薫もお腹すいたでしょ?」

コウはさり気なく話を逸らした。

「まさか!本当に囚人服だったの?!」その態度が気にかかり私はしつこく食い下がる。

「やっぱり薫は足が綺麗だからスカートがよく似合うね」

コウが甘々な笑顔を浮かべながら耳元で囁くと、思わず照れてニヤリと口元が緩んでしまう。

「じゃあ、行こうか」

ニコリとコウは微笑みながら腕を差し出した。

こんな笑顔を向けられたら何処にでも着いて行っちゃいそう。

答える代わりに私はそっと手を添える。

なんだか上手い具合にはぐらかされた気がするのは気のせいだろうか。