ジキルとハイドな彼

「大声を出せるようになったってことは、熱も下がったみたいだね」

コウは私の額に手を添えて、大丈夫そうだ、といって納得したように頷いた。

「おかげさまで」私は苦笑いを浮かべた。

「お詫びに夕飯をご馳走してあげる。一旦帰って着替えておいで」

「とうとう追い出される時が来たってこと?」

私はチラリと上目でコウの顔を見る。

「名残り惜しい?」

「そうね、特にこの家のお風呂は気に入ったわ。あなたと鉢合わせしなかったら、の話だけど」

私が眉間にシワを寄せると、コウは声を上げて笑った。


自宅に戻ると、今まで広々とした部屋に居たので、余計に狭く感じた。

コウの部屋をマンションと言うのであれば、我が家はアパートだと認めざるを得ないだろう。

その上、ここのところ仕事が立て込んでいたので部屋が荒れ放題だ。

洋服は脱ぎっぱなし、使ったままのコップは出しっぱなし。

その上、雑誌や書類、ダイレクトメールなどが床に散乱している。

この部屋を見たらコウは絶句するだろう。

簡単に昼食を済ませて、溜まっていた家事を片付ける。

全てを終わらせた頃には、日が傾いていた。

時計を見ると18:00ジャスト。

約束の時間まで後一時間ほどに迫っていたので早速支度に取り掛かる。

でも、これってデート?なのかしら?

しかし、私とコウの間にはそうゆう色っぽい雰囲気はあまりない、と言うか、全然ない。

友達かと言えば、そこまで気が合う感じでもない。

び、びみょうだわ…