ジキルとハイドな彼

メロンを食べ終わると薬をもらって飲む。

身体が怠かったのでベッドにゴロリと横たわった。

コウはその隣に座り膝に置いたノートパソコンの画面ををジッと見つめながらタイピングしている。

サイドテーブルには書籍を山のように持ち込んで。

「…仕事?」私が尋ねると「うん、ちょっと」と気のない返事をする。

「デスクでやったら?」

「ここが、いいんだ」

コウが長い腕をヒョイと伸ばしサイドテーブルの書籍を一部取る。

なるほど、便利かもしれない。

キーボードを打つ規則的な音が心地よく感じる。

時折、考え込むように顎に手を置きながら、再びパソコンへ向かう姿をぼんやり眺めながめる。

中身は嘘つき鬼刑事だけど、その横顔はやっぱり素敵…なあんて邪な事を考えつつ、クワっと大きな欠伸をした。

薬が効いてきたのか、徐々に瞼が重くなり深い泥のような眠りに引き込まれて行った。

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寝返りを打つとガツっと額に硬いモノがぶつかった。

「イデッ!」

私は驚いて目を覚ます。

シルバーの長方形のフォルム。コウのノートパソコンのようだ。

窓からは柔らかな日差しが差し込んでいる。

頭もスッキリして、身体から倦怠感もすっかり抜けているのでどうやら熱は下がったみたい。

ふと横を見ると、完璧な寝顔がすぐそこにあった。

天使…じゃなくて嘘つき鬼刑事だった。

目を閉じているので、嫌味なほど長い睫毛が強調されている。

スラリと高い鼻に少し乱れた漆黒の髪。

形のよいふっくらとした唇がほんの少し開いているところが無防備で、母性をくすぐる