ジキルとハイドな彼

暫くするとコウは半分に切ったマスクメロンをトレイに載せて部屋へ戻ってきた。

「ず、随分大きく切ったのね」

上半身を起こしベッドの上に座っている私の膝にトレイごと乗っけた。

「たくさん食べな」スプーンを差し出してコウはベッドに腰掛ける。

早速メロンをスプーンでくり抜きながら一口食べる。

香り高く、とても甘くてジューシー。

確かにこのマスクメロンは高いヤツだ。赤肉だし。

「ん、おいしー」思わず顔が綻んでしまう。

「ようやく笑った」コウもつられたようにニコリと微笑んだ。

「あなたも味見する?」

スプーンに載せたメロンをコウに差し出す。

コウはギョッとした様子で「いいって」と言ってお断りする。

「ほんっとうに美味しいから食べてみて。ホラ、一口」

執拗に薦める私に観念したのかコウは口を開けたので、私はメロンを食べさせてあげた。

「ね、美味しいでしょー」私は得意気に笑う。買ってきたのはコウなんだけど。

「ああ、うん。そうだね」

言葉とは裏腹に口元を抑えてちょっと迷惑そうな顔だ。

「そう言えば、あのタロットカードの占いも嘘?」

「タロットカード?」葛城は一瞬宙に視線を泳がせた後、想い出したように、ああ…と呟いた。

「嘘だよ」悪びれなくケロリとした様子で白状した。