ジキルとハイドな彼

私は今、白い壁に囲まれた小狭い部屋に閉じ込めらている。

ここは緑ヶ丘警察署、刑事課、取調室。

目の前の机にはライトスタンドが置かれている。

片手には手錠がかけられており、腰掛けているパイプ椅子に繋がれている。

ダストボックスに入っていたせいで署内で異臭騒ぎが発生し、私はシャワーをお借りする羽目になった。

着替えがなかったので、なぜか上下木綿のすこぶる簡素なグレーの服を着ている。

…まさかこれ、囚人服とかじゃないよわよね。

私は善良な一般市民のハズなのにどうしてこんな扱いを受けるのかわからない。

埼玉の両親が見たら泣くだろう。

釈放されたら然るべき機関に訴えを起こそうと思っている。

しかも、だ。

私をこんな風に閉じ込めたのは、なんと自称オンボロ骨董品店の従業員なのだから驚きだ。

これでは聡との約束も果たせそうはない。

私のせいで、事業がだめになってしまう。

あんな一生懸命仕事に打ち込んでいたのに、聡が首を吊るような事になったらどうしよう。

携帯電話も財布も全て没収され、聡と連絡がとれない。

納得もいかず訳もわからず、苛立ちと不安と焦りで頭がおかしくなりそうだ。

これも全てあの男のせいだ…。

友達と慕っていた自分が許せなくなる。

爪が手のひらに食い込む程、きつく拳を握りしめた。

トラブル処理に腹を立てていた日中が遠い昔のようで、この状況下に置かれては下関先輩すら恋しくなってきた。

その時部屋の扉をノックする音が聞こえる。