華やかな表参道とは一転、昼間でも閑散とした鳥の杜商店街のアーケードをとぼとぼと一人歩く。

一昔前はこの商店街も活気に溢れていたようだが、近くにショッピングセンターが出来てからというもの、客足はそちらに流れてしまった。

商店街を利用するのは、この辺りに住んでいる老人ばかりになっている。

移りゆく時代の波に乗り遅れ、鳥の杜商店街はまさにトリ残されたのだ。

この通りを抜けて左に曲がり200m程歩くと、自宅のマンションに辿り着く。

惨めな披露宴の後に一人部屋で過ごすのは憂鬱に感じられ、くたくたに疲れていてもなんとなく家には帰りたくない気分だった。

うわの空で歩いていると、反対側から若いカップルが腕を絡ませ、デッカイ声で話しながらこちらへ向かって歩いてくる。

男は安いホストのような風貌で女は派手な格好と化粧をしたギャルだ。

すれ違いざまに、男が何やら耳打ちすると、「やっだー! もうエッチ」と女が大げさに身を翻し私の肩にタックルをかましてきた。

いつもならどうってことのない衝撃でも、今日は履きなれていない11㎝ヒールを履いていたため、グラリとよろける。

そのまま道の端に並んで停めてあった大量の自転車に倒れ込んだ。

私が突っ込んだところから、連鎖して次々に大きな音をたてて自転車が倒れていった。

まるでドミノだ…。

呆然と座り込みドミノの行く末を見つめていると、一番端に停めてあった自転車まで見事なくらい全てキレイに倒れる。