ジキルとハイドな彼

「反省してもお腹は空くんだね」コウがクスリと笑って言う。

「そろそろ帰るから大丈夫」

あまりの恥ずかしさで頭を起こす事が出来ず、顔をテーブルに押し付けたまま答える。

「お昼食べて行きなよ」

社交辞令なのか判断しかね、でも…と私が言い淀む。

「この後予定ある?」

コウに尋ねられ私は首を横に振る。

「それに薫の服もランドリーに出しちゃったんだ。多分夕方には仕上がると思う」

「あ、ありがとう」

「じゃあ、お昼の用意をするからその間にシャワーでも浴びておいで」

化粧も落としていないし、髪もボサボサだったのでお言葉に甘える事にした。

高級物件の広くて快適なバスルームで熱いシャワーを浴びるとスッキリして、鬱々とした気分が晴れていくようだ。

洗面所の鏡に写った自分の顔を見ると、スッピンだがドロドロの化粧が落ちてサッパリした顔になった。

髪をドライヤーで乾かして、シュシュで一つに束ねる。

手持ちの化粧品で肌を整えて、メイクは眉だけ書き足してリップを塗る。

スッピンよりかは幾分かマシだろう。

リビングに戻るとガーリックの香りがしてグウ、と再びお腹の虫が鳴る。

「いいところに来たね。もう出来るよ」

コウがキッチンから声を掛ける。

「何か手伝う事ある?」

「じゃあ、ボールに入っているサラダを器に分けてくれる?」

「了解」

ボールにはトマトをオリーブオイルで和えたサラダが入っていた。

言われた通りにガラスの器にスプーンで盛り付けた。

コウはフライパンに入ったパスタをお皿に移す。

出来上がった料理を私はダイニングテーブルに並べていった。

本日のメニューはアンチョビとキャベツのパスタ、トマトとバジルのサラダにバケットだ。