ジキルとハイドな彼

「じゃあ、薫さんも到着したことだし誕生日パーティーを再開するか」

匠さんの仕切りで、葛城一族はダイニングルームへと移動する。

白いテーブルクロスが掛けられた大きなテーブルには、スコーンやサンドウィッチ、前菜の盛り合わせなどの軽食とシャンパン、ワインやビールなどのアルコール類がズラリと並んでいる。

「また乾杯をやり直しましょうか」

春子さんがニコリと笑い「匠!」と長男に鋭い視線を向ける。

匠さんのことをおっかないと思ってたけど、このビューティフルなご兄弟の頂点に立つのは、きっと春子さんだろう。

視線が合うとコウは二コリと微笑み肩を竦めた。


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「逆タマ狙ってた訳じゃなかったのね」

葛城家からの帰り道。

コウの運転する車の助手席に乗り、恨みがましい視線を向ける。

「黙ってて悪かったよ」コウは前を向いたままボソっと呟く。

「薫は嫌がるかな、と思ってさ。家のしがらみとか面倒だろ?」

確かに、以前コウの前で『普通が1番!』と公言したことを思い出した。

「確かにびっくりしたけど、素敵なご家族じゃない。その…個性的豊かで」私は言葉を濁す。

「そうなんだ」コウはクスリと微笑んだ。

「小さい頃から濃いキャラに囲まれてたから、普通の女性じゃ物足りなく感じちゃって」

「へー…」

ここは喜ぶべきとこなのだろうか。