ジキルとハイドな彼

通されたのはリビングのようだ。

天井からシャンデリアがぶら下がっており、大きなアーチ型の窓からは緑の敷地が望むことが出来る。

家具はアンティークで統一されていて、中世ヨーロッパの貴族のお屋敷にでも迷い込んだみたい。

「どうぞお掛けください」

匠さんに促され、中央に置かれたソファーにコウと並んで腰掛けた。

その両脇のソファーには、葛城ファミリーと思わしき方々が優雅に座っている。

好奇の視線が一斉に私へ降り注いだ。

「確かにこの子よ。私が部屋で見たのは」

匠さんとよく似た黒髪の女性が私の顔をジッと見つめる。

「なかなかいい女じゃないか。弟よ」

その隣に長い脚をゆったり組んで座っている男性が無表情のまま言う。

愛想はないが、コウに勝るとも劣らない美貌の持ち主だ。

「あの、こちらの方達は?」私は遠慮がちに尋ねる。

「俺の兄弟、と親戚」

…でた。葛城一族。

「長女春子」コウが紹介すると、華やかな美女がヒラヒラと手を振る。

その大きな瞳はコウとソックリ。

「さっき自己紹介したけど、長男匠」匠さんは頭を下げる。

「次女燁子」コウの部屋で会った『あき』がヘラリと笑う。

「燁子の婚約者、田中さん」切れ長の美形がウィンクする。

「そして、執事の江藤さんだ」私を連れて来たイケメンが深々と頭を下げる。

なんだか後光が指すほどビューティフルなご一族だ。

「今日は春子姉さんの36回目のバースデーだったんだ」

「匠!回数は余計よ!」

春子さんが間髪いれず異議申し立てる。