ジキルとハイドな彼

「帰って来た時に薫の寝顔を拝むのもなかなか心休まるよ」

「ちょっと弱いわね」

私は不満気に目を細める。こんなもんじゃ及第点は与えられない。

「なに?そうゆうの期待してる訳?」

私がコクコクと力強く頷くと、コウは呆れて溜息をつく。

「薫」

コウは頬にそっと手を添える。

漆黒の瞳に見据えられると、私の胸は期待で高鳴る。

「ずっと一緒にいよう。すきだから」

これはパーフェクト。

私は答える代わりに触れるだけのキスをする。

「その顔で言われると、腰砕けものだわ」

「なめるな」

コウが私に覆いかぶさると、ふんわりとシャンプーの香りがした。

「ここまで俺に言わせたんだから覚悟してよね」

コウはそのまま私を抱き寄せて無遠慮に唇を塞ぐ。

私は広い背中に腕を回し、愛しの彼を抱き寄せた。

結局、その翌日も寝不足で出社することとなる―――


「そんな訳で現在も引き続き居候してます」

「なによ、それって同棲じゃない」

珠希に指摘されて私は思わず赤くなる。

「ついに薫にも彼氏が出来たって事か。しかもまともな人」

珠希は小さく溜息をついて、ガレットを一口食べる。