ジキルとハイドな彼

今日は、色々あって疲れているだろうとの配慮から一旦帰宅の許可が降りた。

それでも、夜の10時を回ってたけど… 。

また明日からみっちり事情聴取を受ける事になるだろう。

小鳥遊が送ると申し出てくれたので素直に甘えることにした。もうクタクタだ。

警察署の建物を出ると、コウが鞄を持って立っていた。

ビクリと身体を強張らせ思わず小鳥遊の背後に隠れた。

「お疲れさまですー。俺の事待ってました?それともこっちかなあ」

小鳥遊はイタズラした猫のように私の後ろ襟を掴んで前に引っ張りだした。

「送ってくれ」

「りょーかいっすー」小鳥遊はいつものようにライトな感じで返事をする。

小鳥遊の運転するプリウスの後部座席にコウと並んで座る。

車内は重苦しい雰囲気に包まれた。

コウの方にチラリと視線をやると、窓際に肘を着き、外の景色を眺めていてこちらに視線を向けようとしない。

まだ怒ってるようだ。私はさらに身を縮めた。

「色々ありましたけど、今回富永を逮捕出来たのは薫さんのお陰ですね、葛城さん」

「OAEは序列のない組織だ。富永を逮捕したところで、また新しいリーダーが出て来て組織は存続して行くだろう。蜥蜴の尻尾切りと同じだな」

「でも今まで殆ど情報がなかっただけに富永の逮捕は壊滅への足がかりになりますよ」

何となく小鳥遊は私を庇ってくれているような気がする。

そうだな、と呟いて再びコウは黙り込んだ。