ジキルとハイドな彼

私は「そう」と小さく呟き、誤魔化すように仕出し弁当をお箸でつつく。

「薫さんが昨日葛城さんに話していたら、ここまで危険な目には遭ってなかったかもしれないけど」

小鳥遊は茶色いくるりとした瞳で私をジッと見つめる。

きっと彼も心配していてくれたのだろう。

「…勝手な事をしてごめんなさい」私はしゅんと肩を落とした。

「でも富永は逮捕出来たし、薫さんもほぼ無傷だった訳だから、結果オーライって事で」

小鳥遊は取りなすように、にこりと笑ったので「そ、そうかな」と言って私はテヘっと笑う。

「体当たりで葛城さんに迫るくらいの覚悟があって臨んだ結果だね、薫さん!」

小鳥遊は力強くガッツポーズを作る。

「な…なんで、それを…」私は再び水から出た金魚状態になる。

「無線で聞いてたよ。本部の人達もみーんな」

小鳥遊はケロリとして言い放つ。

次の瞬間、私の絶叫が刑事課に轟いた。