ジキルとハイドな彼

「どうします?これでただのデートだったら」

小鳥遊のくるりとした茶色い瞳が興味深そうに俺を捉える。

「お仕置きだな」

唇の端を微かに上げて銃をホルスターへ収める。

「怖いな」小鳥遊はボソリと呟く。

「後は頼んだ」

俺は車を降りると、薫の元へと向かった。


商業施設の1Fにある小洒落たカフェで田所さんと合流する。店内隅にあるテーブル席に座っていた。

ポロシャツにタッグ付きのズボンを履いており、キャップを被っている。

センスがいい、とは言い難いがいつもよりは悪目立ちしていない。

「富永は?」

田所さんはテラス席を指差す。

その方向に視線を向けると、薫と富永が向かいあって座っていた。

富永は呑気にモヒートなんて飲んでいる。

なんか腹立つな。

「小鳥遊は本部に連絡して、応援を要請してます。田所さんは引き続き、追跡してください。私も尾行します」

田所は眉を上げ驚いたような表情を浮かべた。

「わざわざ葛城警視殿自らが追跡捜査とはな」

田所さんも呆れ顔だが、なり振り構っている場合じゃない。

「富永は拳銃を携帯している可能性があります。なるべくひと気のないところで接近しましょう」

「了解」

俺たちは席を立ち、店を出ると散り散りの方向へ別れた。