ジキルとハイドな彼

「それは富永に間違いないんですか?」

思わず俺は聞き返すと『間違いないな』と田所はキッパリ答える。

一体どうゆう事だ?

「裏では富永と繋がってた、って事すか?」

抑揚のない小鳥遊の声がひんやりと冷たく響く。

『そうとも限らない。お嬢は富永の顔面をぶん殴っていた』

「痴話喧嘩、って次元じゃないっすね。相変わらず武闘派だな」

やっぱり薫は奇怪な行動をとっているようだ。

そして勝手に暴走して、いつも振り回される。

「一先ず、沖本薫の元へ向かいます」

…だけど、放っておけない。

「田所さんは尾行を継続し、富永達が移動するような事があれば引き続き連絡ください」

「了解」という短い応答ののち、電話は切れた。

小鳥遊は言うより早く、地下駐車場に車を入れて停車させる。

「これから田所さんと合流する。小鳥遊は本部に連絡して応援を要請してくれ」

「葛城さんが自ら乗り込む気っすか?」

小鳥遊は目を丸くする。

ああ、どうとでも思え。

自分の目でリアルタイムに全てを見届けなきゃ気が済まない。

例え私情を挟んでると思われても…多少なりとは。

「OAEが銃を所持してたことを考えると富永も持っている可能性は少なくないな」

脇の下に下げたホルスターから銃を抜き、ゴムで作られた安全装置を外す。

「街中で発砲されたら通行人が巻き添えになるかもしれない。タイミングを見計らってひと気のないところで身柄を確保する」