ジキルとハイドな彼

「成川知らないか?」

「ああ、田所さんとどっか行きましたよ」

俺は忌々しげに舌打ちする。

「尾花さんにばれた」

俺がコソリと耳打ちすると小鳥遊は大きく目を見開きようやく反応を示す。

「朝俺と薫がマンションから出て来たところを目撃して、成川が告げ口したみたいだ」

俺は思いっきり眉根を寄せると、小鳥遊は唇の片端を上げて愉快そうにニヤリと笑う。

「笑い事じゃないよ」俺はジロリと睨み付ける。

「一応偶然出くわした体を装ったけどあの調子だと尾花さんは信じてないな。同居が公になったら変に誤解されて捜査を外される」

「そりゃ、事っすね」小鳥遊は肩を竦めて、いつものごとくライトな感じだ。

「お前の教育が足りてないんじゃないの?」

俺はチラリと横目で非難の視線を向ける

「失礼致しました。帰ったらよぉく教育しておきますので。手取り足取り」

小鳥遊は笑顔だが、その瞳の奥にチラリと武闘派の影が覗く。

「いや、今回はいい。俺が直接指導しよう」俺もにっこり微笑み返した。

小鳥遊の笑顔がピシリと固まる。

「あの…死なない程度にお願いしますね」

「随分物騒な事を言うね、小鳥遊くんは」

俺が小首を傾げ微笑みかけると、小鳥遊はハハっと乾いた笑い声をあげた。


数時間後、成川は腫れた顔面でデスクへ戻る事となる。