ジキルとハイドな彼

「警察がこの店に出入りしてるのが漏れたら事だぞ。事件が解決するまではお前の存在がバレないように上手く立ち回れよ」

俺は目を細めて苦言を呈する。

「わかってますよー」小鳥遊はジトっと恨みがましい視線を俺に向ける。

「おかげで身分も明かせず、俺はインチキ臭い男扱いっす」

小鳥遊が不満気にボヤいたので、俺は思わず吹き出してしまった。

「薫さんを送ったら今日は直帰します。たまにはライフワークバランスを大事にしたいんで」

もっともらしい事を言っているものの店長さんとデートの約束でもしているのだろう。

「葛城さんも、たまには大事にした方がいいんじゃないすか?ライフワークバランス」

「私は結構です」

澄ました顔で交わすと、またまたー!と言って小鳥遊ぶはニヤニヤ笑って突っ込んでくる。

「可愛い彼女とたまには一緒に食事でもすればいいのに」

「薫とはそうゆう関係じゃない」

…危うく何度か手を出しそうになったけど。

それは上司としての威厳が損なわれるので小鳥遊にはナイショだ。

「あれ、俺一言も薫さん、とは言ってないんすけど?」小鳥遊はニヤリと笑う。

なんだかその顔は妙に腹ただしい。