ジキルとハイドな彼

鳩尾に強烈な蹴りを食らう。

「うっ…」

不意打ちに呻きながら目を覚ました。

細っそりとした脚が俺の腹の上に乗っかっている。

顔を横に向けると薫がだらしない笑みを浮かべて眠っている。

「重い…」

脚をどけて、俺は上半身を起こした。

薫はショートパンツにTシャツ姿で肢体を投げ出して眠っている。

捲れたTシャツの裾からはなだらかな曲線を描いた白いウエストが覗く。

思わず生唾を飲み込んだ。

端っこの方に眠っていても、気付くと薫はピッタリ引っ付いて眠っている。

今日もいつの間にか俺の枕を横取りされている。

おかげで連日睡眠不足だ。


先日、薫の家に押し入り強盗が入った。

なあんてアッサリ言うものの、その直後に駆けつけた時は今思えば完全にパニックに陥ってた。

履いてきた靴も左右別々だったほど。

震えながらしがみついてきた彼女をこれ以上危険な目には絶対に遭わせたくなくて、強引に理由をつけ自宅へ連れて来た。

本当は鍵を掛けて一日中家に閉じ込めておきたいけど、猫ではないのでそういう訳にもいかない。


「そりゃ溺愛ってやつですね」

小鳥遊はカレークリームソースのかかったハンバーグを頬張りながら言う。

「は?何だそれ?」

俺はキャベツとキノコのアンチョビペペロンチーノ(大盛り)を食べながら首を傾げる。

「薫さんの事っすよ」

小鳥遊はフォークでライスを山盛りすくって再び頬張った。