ジキルとハイドな彼

「どーしましょう?病院に連れて行きますか?」

「いや、俺の家に連れて帰る。車で送ってくれ」

マジすか?!と、小鳥遊は驚いていたが、面倒だったのかそれ以上余計な事は言わなかった。

「じゃ、とっとと車に乗せちゃいますかー」

小鳥遊は億劫そうに沖本薫に手を掛ける。

「いい、俺が運ぶ」

小鳥遊を制し、俺はそっと沖本薫抱き上げた。

あんなに強気で生意気な態度をとっていたけど、その身体は華奢で柔らかだ。

小鳥遊が車の後部座席のドアを開けてくれたので、沖本薫を寝かせて隣に乗り込んだ。

眠っているものの息は荒く苦しそうだ。

着ていた上着を脱いで上から掛けてやる。

冷えた手で額を撫でてやると少しは楽になるのか柳眉を開き穏やかな表情になった。

「そんなに大事ですか?」小鳥遊は運転席から興味深そうに此方を眺めている。

「うん、大事だね。証人だから」

「証人ねえ」小鳥遊が何か言いたそうにニヤニヤしているのが気に食わない。

「いいから早く車をだせよ」

はいはい、と小鳥遊は軽くいなすとゆっくり車を発進させた。


彼氏に騙されて、知らぬ間に犯罪の片棒を担がされ警察に捕まった挙句、熱でぶっ倒れるとは…。

つくづく運のない女だ。

沖本薫の白く滑らかな頬を手のひらでそっと撫でる。