ジキルとハイドな彼

話の決着がつきいくつかの調べ物を済ませると、ビニール袋に入った沖本薫の私服を届けに行く。

ダストボックスに入ったせいで酷い臭気を発していたため二重に袋に入れてグルグル巻きに縛っている。

取り調べの前に沖本薫を強制的に着替えさせた。

「薫さんは帰りました」小鳥遊はケロリと言ってのける。

「帰ったって…囚人服のまま返したのか?!」

女性物の着替えがなかったので署内では囚人服を貸与していた。

本人は何の服かよく解っていなっかったみたいだけど。

「不味かったすか?」

小鳥遊は悪びれなく言ってのける。

「大いに不味いだろ。脱獄犯に間違えられて通報でもされてみろ」

小鳥遊はくるりとした目を大きく見開いた。

「そりゃ事っすね」


俺と小鳥遊は急いで車に乗り込み沖本薫の後を追う。

しかし、俺たちの心配は杞憂で終わる事となる。

ようやく解放された沖本薫はあろうことか警察署をすぐ出た道端に倒れていた。

「寝てるんすかね」

小鳥遊はすぐ近くに車を停めた。

「様子がおかしい」

俺は車から降りて沖本薫の元へと掛け寄った。

沖本薫は真っ赤な顔で苦しそうに息をしている。額に手を当てると燃えるように熱い。

「酷い熱だ」

沖本薫は俺の声に反応したのか薄っすら目を開ける。

それから朦朧とした意識の中で一言二言呟くと安心したかのように眠ってしまった。