ジキルとハイドな彼

緑ヶ丘署刑事課刑事室

教師に職員室へ呼び出された小学生のように沖本薫は項垂れて座っていた。

いともあっさり沖本薫は見つかった。

まさかダストボックスに隠れているとは思わなかったけど…

「警視庁刑事課の葛城です」

俺が身分を明かすと信じられない、というように目を大きく見開いている。

いつもは能天気にヘラヘラ笑っている彼女の表情がみるみる強張っていくのを見て、不思議と胸が痛む。

ほんのチョコっとだけだけどね。

ベテラン刑事の田所さんは恫喝して女性としては気の毒なほど圧力を掛けていた。

しかし沖本薫は涙一つ見せないどころか眉を吊り上げて言い返している。

「潔白だったあかつきには覚えてなさいよ!この丹下段平があ!」

さすがの田所さんも丹下段平には何も言い返せない。

確かに似てる。

俺も危うく吹き出すところだった。

沖本薫は油断ならない。

同情は禁物だ。

残酷な事実を目の前に突きつけ、理詰めで徹底的に追い詰める。

自分の置かれている状況を思い知らされ、さすがに能天気な沖本薫も青ざめていた。

散々くだらない話を聞かされてウンザリしてたので沖本薫を打ちのめしてやれば少しは気が晴れるかと思った。

しかし、ショックで呆然としている彼女を見ていたら、濃い霧が立ち込めたように胸がもやっとした。