ジキルとハイドな彼

同じ商業施設のオープンカフェに移動した。

これまでの経緯を話してもらわなければ気が済まない。

私は被害者だ。聴く権利がある。

しかし聡は自分の置かれてる立場を理解していないようで、緊張感なくモヒートなんて注文ている。

しかも持ち合わせがないため私の奢りだしな。

改めて向き合ってみると、俄かに胸が高鳴ってしまう。

ずっと監禁されていたからか、無精ヒゲに乱れた髪がワイルドさをより引き立てている。

やつれて顎も少しシャープになった。

コウの方が断然美形ではあるが、整っているが故に中性的だ。

聡がふと視線をあげたのでバッチリ目が合う。

「頬っぺた腫れてるわね」

見入ってたことを悟られないよう慌てて誤魔化した。

実際、殴られた左頬は痣になっていて痛々しい。

「感動の再会で鉄拳を喰らうとは思ってなかったからね」

「胸に手をあててよく考えたら?」

私が咎めるように目を細めて睨みつけると聡は唇の片端をあげてニヤリと笑った。

「とりあえず、どうしてあなたはこんな物騒な事に巻き込まれてる訳?」

私は腕を組み、椅子の背もたれにどっかり寄りかかり尊大な態度をとる。

「異業種交流会に参加した時にコンテナの運送会社を経営している人と知り合ったんだ。桐谷さんって人なんだけどさ。あ、タバコいい?」

私がこくりと頷くと、聡はポケットから煙草を取り出し火をつける。

監禁されてたくせにいい御身分だ。

「我が社の資金繰りがリーマンショックで行き詰まった時にその桐谷さんが融資をしてくれるっていうんで思わず飛びついちゃったんだな」