ジキルとハイドな彼

コウは私の下心を知るはずもなくテレビをボーっと眺めている。

私はその横顔にそっとキスをした。

コウは照れるどころか珍獣に出会った時のようなギョッとした表情でこちらを見ている。

「な、なんだよ急に」

私は不意打ちでコウの唇に啄ばむような短いキスをする。

「何して…」コウが抗議を申し立てようとしたが「シッ!」と言って人指し指を唇にあてる。

滑らかな頬にもう一方の手を添えると、私は再び唇を塞いだ。

感触を味わうように何度もコウに口付ける。

ふっくらとした唇をペロリと舐めるとコウの身体が微かにピクリと痙攣した。

唇を重ねるごとにキスは徐々に深いものになっていく。

柔らかなコウの舌に触れた時に、背筋がゾクリとした。

美味しい…

キスに味なんてあるわけない。でもコウとのキスはうっとりするくらい美味だった。

存分に味わいたくて口内を貪る。

始めは呆気にとられていたコウも宙に浮かせた手を私の背中に回し抱き寄せる。

徐々に私の口内はコウの舌に侵されていった。

2人はキスという行為に夢中になる。合間に互いの熱い吐息が漏れた。

いつの間にか私はソファーの背もたれに押し倒されコウが覆いかぶさるようにしてキスをしている。

私もコウの背中に手を回して必死にしがみついた。

なんだか食べられてるみたい…。

蕩けるようなキスで、脳は甘く痺れ意識はぼんやりしていく。