ジキルとハイドな彼

チラリとコウに視線を向けると鍋の灰汁を丁寧にすくってくれていた。相変わらずマメだ。

今回の事はコウにも相談出来ない。なんてったって彼は警察だし。

仕事のうちかもしれないが、いつも私を護ってくれるこの人に隠し事をするのは心苦しい。

せめて無事聡を奪還した暁には警察へ突き出すつもりだ。

その方が聡の身も安全だろう。

「なに?」

コウとバッチリ視線が会う。無意識に凝視していたようだ。

「な、なんでもない」

誤魔化すように慌てて鍋を食べる。

「あっつ!」想いの他具材は熱く、涙目になる。

「ホント粗忽者だな」コウは眉根を寄せると席を立つ。

キッチンから戻ってくると、缶ビールを差し出した。

「ありがと」冷えたビールを一口飲むと痛みが和らいでいった。

口では意地悪ばかり言うが基本的にコウは優しい。機転もきく上に、料理も上手。

改めて、聡という人物を目の当たりにすると人として雲泥の差だ。

美しい所作で食事をするコウをじっと見つめた。

「だから何か用?」コウが居心地悪そうに尋ねる。

「コウに見とれてただけ」私がてへっと笑い冗談めかして言うと「何それ。キモっ」コウは嫌そうに眉根を寄せる。

でもやっぱり口が悪い。