ジキルとハイドな彼

『おい!話しは済んだか?!』

受話器から聡の声とは別のドスのきいた男の声が聞こえる。

『いや、まだ…』

『とっとと話しつけろや!』

その直後にドスンドスンという鈍い音と呻き声が聞こえる。

きっと聡がボコられたのに違いない。私の顔から血の気が引いていく。

『頼む…頼むよ…助けてくれ、薫っ…!』

聡は涙混じりの声で懇願してきた。

必死だ。

一時でもこんな馬鹿に逆上せていた自分に腹が立つ。

「どうやって届ければいいの?」

…だけど見殺しには出来ない。

私目をギュッと瞑り奥歯を噛みしめた。