ジキルとハイドな彼

OAEに襲われようがコウともイマイチ進展がなくとも日はまた昇る。


私は売店で買ったサンドウィッチをデスクで齧りながら、しかめっ面でパソコンに向かう。

今日は13時から業者が来て新しいキャンペーンの打ち合わせだというのに資料が完成していない。

すっかりランチを食べに行きそびれてしまった。

「沖本さーん、UP Plusの方からお電話でーす」後輩の女の子が電話を取りついでくれる。

その時私のパソコンを打つ手がピクリととまった。

UP Plusは聡が経営していた会社名だった。

タチの悪いイタズラだろうか。

「UP Plusの…何て人?」

「名前は言ってませんでした」

「男性?女性?」

「男性…ですけど。折り返しますか?」後輩の女子社員は食い下がる私に少し怪訝な表情を浮かべる。

「ありがとう。出ます」腹を括り受話器をとった。

「お電話代わりました。沖本です」

「…薫?」

受話器から聞こえてきたのは紛れもない聡の声だった。

「はい…」

突然の事で私の頭は真っ白になる。。

「会社に来られてるってことは無事なんだな」

「何とか…大丈夫です」

久しぶりに聞く聡の声。

私の心臓は早鐘のように脈打つ。

「薫、俺は…嵌められたんだ。信じてくれ」

「よく…状況が掴めません」

聡はとりあえず無事だった。言いたいことも聞きたいことも山ほどあるのに緊張で震えて声が出ない。