ジキルとハイドな彼

な、なんか…お楽しみの続きを期待出来るような空気は皆無だ。

コウに下心があるなんて到底信じられない。

お風呂から上がった後にキッチンへミネラルウォーターを飲みに来たが、それ以外では一切姿を見せることはなかった。

おっかない家主が戻って来なかったのでビールを飲みながらTVを見て思う存分一人の時間を楽しんだ。

アルコールも程良く回り、私は大口を開けて欠伸する。

AM1:00過ぎた頃にようやくベッドルームへ向かう。

ドアを開けると部屋の照明は落されていたが、窓から満月の月明りが差し込んでいた。

ベッドの側まで行くと、健やかな寝息を立ててコウが天使のような顔で眠っている。

疲れているのね。

漆黒の髪をサラリと撫でる。

しかし、コウは深い眠りについているのか、ピクリとも動く気配がない。

私は羽毛布団を巻くり上げ、ベッドの中に身を滑りこませる。

意識がないのをいいことに月明りに照らされた完璧なコウの寝顔を間近でジッとみつめる。

やっぱり可愛い…。さっきは不機嫌で怖かったけど。

意志薄弱な私は我慢出来ずに、整った形の唇にそっとキスをした。

コウの唇はふっくらと柔らかく暖かい。

もう少しその感触を味わっていたかったが、目を覚ましたらいけないので、私は名残惜しくもそっと唇を離す。

匿ってもらっている身の上で寝込みを狙って唇を奪うとは、私の方がよっぽど下心がある。

神様、不純な私をお許しください…。

思わず天に向かって拝みたくなるような心境だった。

淫らな気持ちを抱きつつも、人肌のぬくもりとアルコールの倦怠感であっと言う間に泥のような眠りに落ちて行った。


しかし、こんな危機的状態においても、浮わついてる能天気な私に天罰が下るのは、そう先の事ではなかった。