ジキルとハイドな彼

「知り合い?」

「うん、そうそう、高校からの親友なんだ。美人でしょ?」

「うん、可愛い」

「へ?」意外な答えが返って来たので思わず聞き返した。

「何で?可愛いじゃん」

「だって、派手でグラマーな子が好きだって言ってなかったっけ?」

珠希はどちらと言えば細身で華奢な体型でグラマーとは言い難い。

服装もヘアスタイルもセンスはいいが、清楚な雰囲気だ。

「でも、彼女は可愛い」

「そう。でもさっきの彼にゾッコンみたいよ。残念だったわね」

「へえ、そうなんだ。つまんないの」

小鳥遊は不愉快そうにスッと目を細めた。

買い物が終わって、帰りの車に乗り込んでも小鳥遊は虫の居所が悪いのか黙り込んでいる。

買い物に付き合わせたのがそんなに嫌だったのだろうか。

始終不機嫌だったものの、5kgの米と買い物袋はコウの部屋まで運んでくれたのでホッとした。

「あの…ありがとう。重かったから大変だったでしょ?」

私は小鳥遊をご機嫌をうかがうようおずおずと上目でみあげる。

「いえ、大丈夫です」と言うものの、小鳥遊はどこか元気がない。

「具合悪いの?」

「そうゆう訳じゃないけど、何か気が抜けちゃって」

疲れてるのかな、と言って小鳥遊は力なく笑う。

「あの…これ」

私は買って来たビターチョコレートを小鳥遊に差し出した。

「甘い物を食べると少し元気になるよ」

「ありがとう」と言って小鳥遊はニコリと微笑んだ。

やっぱり、不意に見せる素の笑顔には母性を擽られる。