ジキルとハイドな彼

「あら、お米安いじゃない」

私は5kgの袋を持ち上げてショッピングカートに乗せる。

「全くどんだけ買う気だよ」

小鳥遊がカートを押しながら、ぶつくさ文句を言う。

カゴの中はミネラルウォーターとビール2ケースが既に入っている。

小鳥遊がいるのをいいことに、重くてかさばるものを買って部屋まで運んでもらおうという腹づもりである。

「こうゆうことは葛城さんにお願いしてよ」小鳥遊は文句タラタラだ。

「コウは車持ってないもん」

「それ本気で言ってるの?持ってるに決まってるじゃん」小鳥遊は眉間に皺を寄せて言う。

「うそ!見たことないわよ」

「まぁ、ここんとこ超多忙だから車を動かす機会もなかなかないのかもねぇ」

「でもあんな高い物件に住みながら、車まで維持するとなると結構お金がかかるよね。そんなに乗らないなら売っちゃえばいいのに」

「葛城さんにお金の心配なんて無用でしょ」小鳥遊は肩を竦める。

「警察って言ったって公務員でしょ。そんな目を見張るほどの給料なんて貰えるのかしら」

私は棚から味醂1.5ℓを取ってカゴに入れる。

「…薫さん、何も知らないんだ」

「なんか言った?」

小鳥遊がボソっと何か呟いたが私は聞き取れなかった。

「薫!」

その時不意に呼び止めらる。

声の方に振り向くと、腐女子会のメンバー珠希が驚いた顔で立っていた。