ジキルとハイドな彼

「薫にその覚悟があるなら続けるけど」悪戯っぽい笑みを浮かべながらコウは私の顔を覗き込んだ。

こんなカワイイお誘いを断わるほど屈強な自制心を持ち合わせた女がいるなら見てみたい。

因みに私は意思薄弱だ。

「や、優しくしてくれるなら」私はボソリと呟くとコウは吹き出した。

「処女じゃないんだから」

「も、もういい」茶化されて恥ずかしいやらバツが悪いやらで、いたたまれなくなり私が立ち上がろうとすると、コウが腕を引っ張り後ろから抱きすくめる。

「そりゃあ、もう。とびきり優しくするよ」

耳もとで囁かれるとゾクゾクする。

コウが耳を甘噛みすると、思わずピクリと反応する。

そのまま、うなじから鎖骨にかけて唇を這わせてゆく。

もう、ダメ…

私は身体から力が抜けていく。

それを見抜いたようにコウは私をソファーにそっと押し倒す。

陥落されたその時、けたたましく電話が鳴った。

「あ、あの、電話」

「今、取り込み中だから」

「でも…」

ニッコリ笑ってコウは私の口をキスで強引に塞ぐ。

呼び出し音が留守電に切り替わった。

『お取り込み中失礼しまーす』

この軽薄な声…小鳥遊だ…。

私が一瞬唇を離そうとするが、頭を押さえられてより深く口づけられる。

『いるのはわかってます。葛城さん、電話に出て下さーい』

コウは小鳥遊の呼びかけには全く意に介さず、スルリとルームウェアの中に手を忍ばせ、慣れた手つきでブラのホックを外す。

因みに今日買ったランジェリーを早速身につけている。こんな早く役立つとは思ってなかった。