ジキルとハイドな彼

私が食事の後片付けをしている間に、コウはお風呂を済ませたようだ。

リビングに戻ると、スウェットにTシャツ姿でソファーに座りパソコンを開いていた。

この後に及んでもまだ仕事をしているようだ。

「今日はやめておいたら?」私はチラリと横目で視線を向ける。

「でも、今日のうちにやっておきたいんだよ」

「今日中までにやらなければいけない、って訳でもないんでしょう?」

まあ、そうだけど、とコウは生返事をする。

この期に及んでまだ、仕事をするつもりだ、この人は。

きっと鼻血を出してぶっ倒れる迄働き続けるのだろう。

休息を取らせるために、此処は一つ強行手段に打って出る事にした。

「此処どうぞ」と言って自分膝を軽く叩く。

「え、い、いいよ」と言ってコウは目を泳がせる。

思いもよらない申し出に少々困惑気味のようだ。

攻めの彼は、逆に攻められるのが苦手らしい。

「ほら早く」肩に手を伸ばして、コウの頭を自分の膝に引き寄せる。

コウもまんざらじゃない様子で、私の膝におずおずとちっちゃな頭を載っけた。

「寝心地はいかが?」

「ん、なかなか」コウはご機嫌そうににっこり笑う。

小鳥遊に負けじ劣らじコウの笑顔も女心をくすぐる。

小鳥遊は童顔だがら元が愛らしい顔立ちだが、コウはいつも取り澄ましているので、この無邪気な笑顔とのギャップがたまらない。

気取ったペルシャ猫が膝にきてゴロゴロ喉を鳴らしながら甘ているみたいだ。