ジキルとハイドな彼

コウはまだ仕事が残っていると言っていたので、小鳥遊に送ってもらい先にマンションに戻っている事にした。

一人で手持ち無沙汰だったのでペンネアラビアータを作って食べる。

トマトソースを多めに作っておいたので、コウがお腹を空かせて帰って来てもすぐに用意することが出来る。

夕飯を食べ終わると、お風呂に入りルームウェアに着替えた。

リビングでゴロゴロ寛いでいると玄関の扉が開く音がする。

ソファーから飛び起きて小走りで出迎えに行く。

「おかえりー」コウのご帰宅が嬉しくて姿を見ると、えへへー、と思わず頬が緩む。

「ただいま」コウもつられてニコリと微笑むが、顔には明らかに疲労の色が滲んでいる。

「ご飯は?」

「軽く食べようかな」

「じゃあ、用意するねー」

コウが着替えてくる間にペンネを湯でてトマトソースと絡める。

バケットを切り、買ってきたアボガドサラダと一緒にならべた。

準備が整った頃に、着替えを済ませたコウがキッチンに入ってくる。

すかさず冷えたビールとグラスを出す。

いただきます、と言ってコウは食事に手をつけた。

「今日は大変だったわね」私もテーブルの向かいに腰かける。

「でも友里恵さんと薫のおかげで捜査の目処がたったよ」

「お役に立てて嬉しいわ」

頬杖をつき顎を乗っけてにっこり笑う。

「役になんてたって欲しくないんだけどな。薫が危険な目に合わないようにこの家に来てもらってる訳だし」

コウは憂鬱そうな表情を浮かべる。

「それは無理な話しね。ほら、私って運が悪いから」

私が鼻の頭に皺を寄せると、確かにと言ってコウはクスっと笑った。