ジキルとハイドな彼

その時「出来た!」と友里恵が大声を上げる。

私たちがお喋りに興じている間に、友里恵はリーダーであろう金髪と私に絡んできたタトゥー男、小鳥遊にブッ飛ばされたロン毛の3人を描いていた。

「似てる!」思わず私と小鳥遊が声をあげてしまう程、どれもよく特徴を掴んでいる。

似顔絵担当者の捜査官は肩身が狭いようで、力なく微笑んだ。

「こんなもんでいいかしら、刑事さん」友里恵はにっこりと微笑んだ。

「ありがとうございます。初動捜査に使用させていただきます」

「調書もとって似顔絵もバッチリ。他にご協力出来る事はありますか?」

顔はニッコリ笑っているが、明らかに友里恵は我慢の限界を迎えつつあることが長年の付き合いで感じ取れる。

また拘束されるような用件を尾花が言い出そうものなら、友里恵は確実に掴みかかるだろう…。

「尾花さん、友人は気丈に振る舞っていますが、怖い思いもして心身共に疲れて果ててしまってるようです。
今日はこの辺りで帰らせてもらえないかしら」

尾花の腕にそっと手を添えて上目遣いでお願いしてみる。

「そうですね。今日の所はこの辺にしておきましょう」そう言って尾花はチラリと腕時計に目を落とす。

「今日の…ところは?」友里恵は引き攣った笑顔で聞き返した。