ジキルとハイドな彼

「だ・か・らー、もっと目はギョロっとしてるって言ったじゃない?」

友里恵は似顔絵担当の捜査官に食ってかかかる。

は、はい、といって気の弱そうな痩せた男性捜査官は慌てて消しゴムで目元を消す。

「だー!いいわよ、貸しなさい!」

友里恵はスケッチブックをとりあげ、ブツブツ言いながら鉛筆を走らせる。

「彼女は高校時代、美術部だったんです」私は肩をすくめて言う。

「ほお。だから先程のタトゥーの絵も上手だったのですね」感心した様子で尾花が言った。

「私はからきし美術の方は駄目で。捜査を混乱させてすみませんでした」私は苦笑いを浮かべる。

「沖本さんは背が高いから、スポーツの方が得意そうですね」

「逃げ足がやたら早くて、田所さんが追いかけるのが大変だったって言ってたよ」

小鳥遊が余計な情報を差し入れてきた。

「高校時代は陸上部で種目は短距離走だったから」バツが悪そうに私が言うと「やっぱりー!」と言って小鳥遊はゲラゲラ笑う。

「尾花さんはスポーツは何かされていたのですか?」誤魔化そうと話題を尾花に降る。

「僕は剣道をしていました」

「まあ!イメージにピッタリ!強そうですね」私が褒めると「一応、インターハイでは優勝しました」と言って、尾花は眼鏡を中指で押し上げる。

「さすがですねー!」私は感心した様子で言う。

さっきの鋭いキツネ目で睨まれたら面を通してでも相手は怯むに違いない。

「小鳥遊くんももやたら強いけど格闘技でもやってたの?」

「うん、色々齧った。ちょっとづつだけどね」

ホントにちょっとなのか?!私は訝しい視線を小鳥遊に送る。