ジキルとハイドな彼

「あなたも落ち込んでるの?」

「俺は彼女が慰めてくれるから」

「例のエロカワイイ子?」小鳥遊は肩をすくめる。

「本当は今日会う予定だったんだけどすっぽかしちゃった。こんなんじゃ愛想尽かされちゃうかもね」

小鳥遊が刹那げに笑う。

そんな表情を見せる彼は、もしかして本気で恋をしているのかもしれない。

私は茶色い小鳥遊の髪の毛をそっと撫でてやる。フンワリとして柔らかかった。

「あなたも私と友里恵を守ってくれてありがとうね」

やめてよ、と言って小鳥遊は照れ臭そうにニコリと笑った。

いつものヘラヘラした笑い方じゃない自然な笑顔に思わずキュンとする。

「おい、小鳥遊」

突然声を掛けられ、私と小鳥遊はビクリと身体を強張らせる。

ハッとして振り向くとコウが給湯室に入ってきた。

明らかに不機嫌そうな仏頂面をしている。

慌てて撫でていた手を引っ込めた。なんとなく。

「イチャイチャしてる暇があったら早く戻れ。尾花さんが呼んでる」

コウはピシャリと言い放つと、踵を返し給湯室から出ていった。

はい!と小鳥遊は慌てて返事をする。

「葛城さんはいいこいいこじゃ慰めらんないだろうなぁ」

ええ?!と私が顔を顰める。

「もっと身体はんなきゃだめかもねー」

後はよろしく、と言って小鳥遊は私の肩を軽く小突くとコウの後を追った。