ジキルとハイドな彼

「中断してしまったけど、そんな盲目の恋の行方を占ってみよう」

コウは二コリと微笑みバラバラに散らばったタロットカードを慣れた手つきで一つにまとめた。

「ちょっと待って!」手のひらを押し出してストップをかける。

突然声を張ったのでコウは面食らった顔をしている。

「ちょっと心の準備させて」

「そんな遊びなんですから大丈夫ですよ」肩をすくめてコウが言う。

「でもよく当たるって言ってたじゃない」

「当たるも八卦、当たらぬも八卦なので」

では、始めましょう、と言ってにっこり微笑むとコウは私にカードを差し出す。

「では、彼への気持ちを込めてカードへシャッフルしてください」

コウに言われた通り、カードを裏返しにして、両手でカードをぐるぐると混ぜ合わせる。

聡の笑った時に目尻に寄る細かな皺、そしてキスした時の張りのある唇の感触を思いだすと思わず頬が緩んでくる。

「はい、ありがとうございます」

コウの声により、目をパチリと開く。

もう少し甘い記憶の世界に浸っていたかった。

「もういいの?」と私が聞くと、充分過ぎるくらい、と言ってコウは口の端を上げて苦笑いを浮かべる。

「次に、『これで良し』と思うタイミングまで切り続けて、その後に3つの山に分けてください」

私はよく切ったタロットカードを3つに分けて机に並べる。

「そして3つに並べた山を、最初に並べた順番とは逆から、左手で1つにまとめて置きます」

私はここでも言われた通りに実行する。

「はい、ありがとうございます」コウは二コリと微笑んだ。

「ではこれからめくる3枚のカードから、質問の答えを導きます」

コウはスラリとした長い指先でタロットカードを左から順に三枚並べて行く