「あなたそのうち刺されるんじゃない?」私が鼻の頭にシワを寄せ非難すると「職業柄、護身には自信があるからご心配なく」と言って小鳥遊は口の片端をあげてニヤリと笑う。

フンと鼻を鳴らして車から降りると「じゃあ、葛城さんによろしくー!」と言い残し小鳥遊は急々と倖田來未似の元へと走り去って行った。


私は手に買い物袋を提げてコウの部屋へと帰る。

相鍵を使って中に入ると、部屋の灯りをつける。

寝室でデニムとカットソーに着替えると、一息つく間もなくエプロンをつけてキッチンに立った。

買い物してきた食材で夕飯の準備に取り掛かる。

本日のメニューはキーマカレーだ。

食材をみじん切りにして、スパイスと一緒に先日自宅から持ってきた圧力鍋で一気に煮込む。

その間に、パプリカ、ナス、ズッキーニやシメジなどの野菜をグリルする。

お米が炊けるのとほぼ同時に、圧力鍋のカレーも出来あがった。

五穀米にカレーを盛り付け、彩りでグリルした野菜を飾る。

我ながら栄養バランスも取れていてなかなか美味しそう。

時間がなくて着け合わせのスープはキャンベルのクリームマッシュルームになってしまったけど。

「いただきまーす」

テレビを着けバラエティー番組をボンヤリ眺めながらゆっくり夕飯を食べる。

リラックス出来る至福の一時である。


食事を済ませると、広々した湯船にゆったり浸かる。

「最っ高!」

私はお風呂の窓から夜景を眺めながら、うっとりと溜息をつく。