ジキルとハイドな彼

「ふいー…」

あまりの心地よさに思わず口から溜息が漏れ出てしまう。

一流ホテルのスパでオイルマッサージなう。

思わず頭の中でツイートしてしまう。

ホテルの最上階にあるスパはガラス張りになっており、窓からの絶景を堪能することが出来る。

空中に浮かび上がっているような気分に浸れることから「天空のスパ」なぁんて呼ばれているらしい。

結局、私は単独でホテルにお泊りすることとなった。

電話で話していた「あき」って誰なんだろう。

今日は「あき」が来るからコウは私をホテルに泊らせたに違いない。

上手く丸めこまれた感満載だけど、顔をマッサージされていると「あき」の事なんてどうでもいいように思えてくる。

「…んな訳あるかぁ!」

思わず口に出してしまったもんだから、セラピストのお姉さんが身体をビクリと強張らせた。

「す、すいません…」私はバツが悪そうにボソリと詫びる。

「いえ大丈夫ですよ」とセラピストのお姉さんは言ってくれたけど顔が引き攣っていた。

情緒不安定な女だと思われたに違いない。

私をお泊りに誘っておいて、他の女から連絡があったらそっちに行くのか!あの男は!

そもそもそんな女がいたのに関わらず私をお泊りに誘ったのかあの男は!

やさぐれた心とは裏腹に一流スパのオイルマッサージのおかげでフェイスとボディはツルスベに仕上がった。

思わず頬ずりしたくなるほど滑らかな肌だ。

ま…誰に触ってもらえる訳でもないんだけどな。