ジキルとハイドな彼

「薫さんだって充分細いじゃないすか!もっと福よかでもいいくらいっす!とくに胸とか」

軽口をたたく小鳥遊に舌打ちをする。

「私はストイックに自制して細くしてんのよ」

「葛城警視はスレンダーが好みなんすかね」

「さぁ、どうなのかしらね」

そう、今日のコウには閉口する。

よくもまあ、あれだけ他人行儀に接することが出来るものだ。二重人格なんじゃないかと疑わしくなる。

店内は食事時の時間帯から外れていたためか、自分達以外には殆ど客は入っていなかった。

それでも念のため、声を潜めて今日の聴取の内容を大まかに話した。

「すげえ、強盗の腕をへし折って撃退したんすね。その上、俺にはひじ打ちっすよ。薫さん、どんだけ武闘派なんすか」

「なんでそこに食いつくのよ。こっちだって命が懸かってんだからそんくらいするでしょ」

「いや、でも素人の女性が咄嗟にそれほど機転のまわった対処が出来るとは、さすが葛城さんの選んだ女性ですよ」

「だから、そんなんじゃないってば」

いい加減、中学生ばりの冷やかしはやめてほしい。

その上、武闘派に武闘派で褒められるって女性としてどうなんだ。

溜息をつき、サラダを一口食べる。

「しかも、自宅に連れ込むなんて随分大事にされてるんすね、薫さん」小鳥遊はニヤリと笑った。

「何言ってんのよ。たまたまご近所だったからでしょ」

私はナイナイ、と言う代わりにフォークを横に振る。