ジキルとハイドな彼

「おお!来たな、お嬢」

小鳥遊とバトンタッチして、田所のおっさんに聴取室へご案内された。

小狭い部屋の真ん中に机が2つ並べられており、その周りにパイプイスが4脚おかれている。

「まさか今日は手錠かけたりしないでしょうね」

私は手首を押えながら田所のおっさんに警戒の視線を向ける。

「はは!お嬢は手錠が気に入ったのか!葛城さんに言っておくよ」

「そんな訳ないじゃない!」私は顔を真っ赤にして思わず声を張る。

その時、ノックの音が聞こえた。

ドアが開いた瞬間、私と田所のおっさんはハッと目を見張る。

先程のきつね男に続いて部屋へ入って来たのはコウだった。

オーマイガッ!

「確か話を聞くのは尾花さんだけだったハズでは…」

「今回の事件で実際陣頭指揮をとるのは葛城なので同席してもらう事にした。何か不都合な事でも?」

キツネ顔は淡々とした口調で尋ねる。

「まあ、一人も二人も変わりませんがね」

田所のおっさんは一瞬動揺した様子だったが、すぐにまた飄々とした態度に戻った。

きつね顔が私の向かいに、コウははす向かいにそれぞれ座る。

「警視庁刑事部尾花と申します」

きつね顔、改め尾花は挨拶を続ける。

「わざわざご足労いただきありがとうございます。先ほどは若い刑事が失礼しました」

尾花はなかなか紳士のようだ。

いえ、とだけ短く返した。

「ではお忙しいところご協力いただいているので、早速ですか昨晩のお話を聞かせ願いますか」

尾花が質問する。私は三人を見据え、こっくり頷いた。