「薫さんこっちー」
広々とした警察署のエントランスを抜け、小鳥遊がエレベーターに案内する。そのまま乗り込むと8階まで上がる。
先日は容疑者として―――誤解は解けたのだが―――連れてこられ、今日は被害者として警察署に来るなんて思いもよらなかった。
「薫さん、葛城さんと個人的な仲にあることはオフレコでお願いしますね」
小鳥遊は声を潜め神妙な面持ちで言った。
「葛城さんの部屋に転がり込んでるなんて知られたら、好奇の目にさらされちゃいますからね。そうなったら俺本当に東京湾で魚の餌になるんで」
「だいたい隠すもなにも、彼とは友達よ」
「またまたー!隠さなくったっていいじゃないですか。同じ部屋で男女が一夜を過ごして何もないわけないじゃないですか。二人ともいい大人なんだし、ねぇ」
「だから違うっていってる… 」
突然小鳥遊に肩を抱かれ口を塞がれる。
急に触れられたものだから、ビックリして反射的に鳩尾にひじ打ちをかましてしまった。
武闘派と言われた小鳥遊もか弱い女性の不意打ちに肩膝をつく。
小鳥遊の視線は私を掠めて、その後ろを捉える。
「ああ… 」と力なく呟き、その瞳に絶望の色が浮かんだ。
その視線の行き先を追って私も振り返る。
エレベーターホールからアタッシュケースを持った黒づくめの集団が颯爽と歩いてくる。
その光景を見た瞬間、頭の中でキルビルのテーマソングが流れてきた。
広々とした警察署のエントランスを抜け、小鳥遊がエレベーターに案内する。そのまま乗り込むと8階まで上がる。
先日は容疑者として―――誤解は解けたのだが―――連れてこられ、今日は被害者として警察署に来るなんて思いもよらなかった。
「薫さん、葛城さんと個人的な仲にあることはオフレコでお願いしますね」
小鳥遊は声を潜め神妙な面持ちで言った。
「葛城さんの部屋に転がり込んでるなんて知られたら、好奇の目にさらされちゃいますからね。そうなったら俺本当に東京湾で魚の餌になるんで」
「だいたい隠すもなにも、彼とは友達よ」
「またまたー!隠さなくったっていいじゃないですか。同じ部屋で男女が一夜を過ごして何もないわけないじゃないですか。二人ともいい大人なんだし、ねぇ」
「だから違うっていってる… 」
突然小鳥遊に肩を抱かれ口を塞がれる。
急に触れられたものだから、ビックリして反射的に鳩尾にひじ打ちをかましてしまった。
武闘派と言われた小鳥遊もか弱い女性の不意打ちに肩膝をつく。
小鳥遊の視線は私を掠めて、その後ろを捉える。
「ああ… 」と力なく呟き、その瞳に絶望の色が浮かんだ。
その視線の行き先を追って私も振り返る。
エレベーターホールからアタッシュケースを持った黒づくめの集団が颯爽と歩いてくる。
その光景を見た瞬間、頭の中でキルビルのテーマソングが流れてきた。

