ジキルとハイドな彼

デニムのパンツに白のTシャツを合わせて、その上にロングカーディガンを引っ掛けたラフな格好で玄関から出て行く。

手には愛用しているロンシャンのミニトートを持ち、足元は昨晩のクロックスのままである。

小鳥遊は私のチグハグな格好を見て一瞬目を見張る。

「斬新なコーディネートっすね。海外セレブでも意識してるんすか?」

私は何のこっちゃと言わんばかりに眉をしかめる。

「この格好で行くわけないじゃない、着替えるから私の部屋へよってもらえるかしら」

「りょーかいっす」

相変わらずこの男は気安い。

小鳥遊は濃紺にストライプの入った仕立てのよさそうなスーツを着ており、ふわりとした少し長めの茶色い髪の毛を上げて後ろにながしている。

「昨日とは大違いね」私はぐるりと目を回して言う。

「あれは私服だったから」

だからキャラにしっくり合っていたのか。

「急に呼び出されたから参っちゃいましたよー」

「何よ、デートでもしてたの?」

私が冷やかすと、小鳥遊は、ないしょー、と言ってニヤリと笑った。

そのまま自宅のマンションに立ち寄り着替えを済ませる。

地味目に、と念押しされたので、白のカットソーに黒いフレアスカートを合わせた。

装飾品もシルバーのさりげないデザインを選び、メイクもナチュラルに仕上げた。

鏡でチェックすると、我ながら、なかなか品良くまとまっている。

これにお気に入りのヌ―ドカラーのパンプスを合わせれば完璧。

支度を整え、小鳥遊の運転してきたプリウスに乗り込む。